Last modified: Fri Dec 6 20:26:38 2002 +0900 (JST)
明間さんから (情報ありがとうございます):
セキュリティホールmemo で Athlon の熱破壊というやや懐かしい話題が取り 上げられていますが、関連情報が少しありますのでお知らせします。 ASUSTeK のページで「毎日コミュニケーションズ刊 PCfan 2002年7月15日号 より 許可を得て掲載」とされている情報です。 http://www.asus.co.jp/indeximages/cop_pcfan.JPG かつての Thunderbird コア(銅配線 180nm)では俗に言う「焼き鳥」をやって しまう人も結構いたようで、行きつけのショップの店先に残骸がいくつも展 示されています。その後 Palomino コア(最適化銅配線 180nm)に移行してマ ザーボードメーカーも扱いに慣れてきてからは事故も減ったようで、残骸も 増えていないようです。現行の thoroughbred コア(130nm)についてはあまり 売れていないせいもあってか「焼き馬」の話はあまり聞きません。 なお下位の製品については Palomino も併売中です。また、「焼き馬」とい うのは Palomino が「たてがみと尾が銀白色でその他はクリーム色の馬」を 意味するところから付けられた俗称で、私が検索した範囲の「焼き馬」はど れも Palomino でした。 ところで、http://slashdot.jp/comments.pl?sid=57333&cid=204641 は単に マザーボードの CPU 電源の設計がタコだった&そんなのをサーバー室に置い たユーザーが間抜けだったという話ではないでしょうか。Athlon 自体が燃え たのではなく、マザーボードが燃えたわけですから。 少し前の中国製の安いボードには品質に問題のあるものもあり、単価の高い 電源周りのパーツをケチっていたりすることがありました。ボード上のシル ク印刷に対してケミコンが妙に小さかったり、見るからに安物だったり。こ ういうものが発火事故を起こしても誰も驚きません。 悪いことに、Athlon1300MHz の時代は急激に消費電力が上昇するのに信号面 では互換性がある、つまり一見動くけれど電源は過負荷状態ということが起 こり得ました。特に外部 100MHz のものは古くて CPU 電源の弱いマザーボー ドでも動かせる可能性がありました。こういう場合マザーボードベンダーが BIOS に細工をして消費電力の大きすぎる高速な CPU では起動しないように すべきなのですが、そこまでしない会社もありますし(というよりしたという 実例は知りません)、問題をよく理解せずに「動くから」と古い BIOS を使う ユーザーもいるでしょう。件の書き込みはあまりに情報不足ですが、こうい った状況が重なっていたのではないかという気がします。 ただ、もしそうだとしても、AMD には全く責任がないかといえばそうでもあ りません。最大消費電力は Athlon と Pentium4 に大差がなくても、アイド ル時にAthlon は電力消費が下がらないそうです。この辺はこちらを。 http://homepage2.nifty.com/coolon/notes/softcool.htm こういうわけで、連続運転で CPU 電源に負荷をかけやすいプロセッサーだと いうことは言えるでしょう。 オンボードの CPU 電源の発熱問題は5年も前から一部で問題になっていまし た。Socket7, MMX Pentium の時代です。コア電圧が I/O 電圧より下げられ たため、初期の Socke7 マザーボードでは可変シリーズレギュレーターでコ ア電圧を作っていました。これは回路が簡単で部品点数も少なく、ノイズも あまり発生しません。しかし下げた電圧分の電力はレギュレーターが熱とし て捨てることになり、低消費電力版とはいえ絶対的な消費電力は高い Cyrix 6x86L あたりから問題になり始めました。CPU の高速版への換装やオーバー クロックでは「レギュレーターが割れる」という事故も希に聞かれました。 そのうち半導体プロセスの進歩でコア電圧がより低くなるなどしてシリーズ レギュレーターでは対応できなくになり(捨てるべき電力が過大)、現在のよ うなスイッチングレギュレーターによる CPU 電源が採用され、この種の事故 は聞かなくなりました。しかし扱う電力が大きくなってきたため、ひとたび 事故が起きるとこのようにシャレにならない被害になるようです。そしても ちろんこの問題は Intel マシンでも安物マザーでは起こりえます。